コーチング×人事の知〜理想的キャリア創造!〜

コーチング×人事の知見でより良いキャリア・社会を創造する!

なぜコーチやカウンセラーが必要なのか?②

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前回は、

①昔から、そして今でも、コーチやカウンセラーに頼るまでもなく、占いや宗教、家族、先生や上司といったさまざまな悩みや課題を相談する場があることを確認

②それでもコーチやカウンセラーが必要とされる社会的背景には以下のようなものがあるのではないか

  1. 社会の変化により、個人の抱える課題が、(深い)内面的課題へと変化してきたため、専門家が必要になってきた
  2. 上に挙げたような場の機能が弱まっている
  3. そもそも既存の場の機能に限界がある
  4. カウンセリングやコーチングの理論と技法が確立し、職業として自律した

ということを書きました。↓

なぜコーチやカウンセラーが必要なのか① - コーチング×人事の知〜理想的キャリア創造!〜

 

今回は②で挙げたコーチやカウンセラーが必要とされる社会的背景・理由について少しだけ詳しく書いてみたいと思います。言い換えると、コーチングやカウンセリングがなぜ職業・産業として成り立っているのか?について考えてみたいと思います。なお、前提として、主に90年台後半からの2010年台前半の日本社会を念頭において考えていることを付け加えておきます。

 

 

1.個人の抱える課題が、内面的課題へと変化してきた

ポストモダン」という考え方によれば、現代は「大きな物語」が終焉した時代であるとされています。言い換えると、社会の向かう方向が(それが合っていようがいまいが)明確に示されなくなくなってきたということです。自分で考えて自分で選んで良い一方で、自分で選んで責任を取る必要とその不安が出てきたということです。また、特に2000年代以降では「自己責任論」が強まっている側面もあります。

例えば昔なら、学校や仕事で嫌なことがあっても、「人生とは選べるものではないし、そんなものである」という認識であったり、頑張れば明るい未来が待っているという期待などの「物語」に依拠してなんとか生きていくことができていたのです。また、そもそも物質的に豊かではない時代もありました。心理学者マズロー的に言えば、より高次の欲求に関心が移ってきたているわけです。(明確にいつの話か、いつからそうなっている、という表現はあえて避けています。)

ところが現代では、ある程度のレールはありつつも、仕事でも何でも、大人になれば基本的に自分で考えて選んでいくということが必須となっています。

更に最近では、「自分らしさとは何か」を追求せよという要請や「自己実現」を強く迫る社会になってきたとも言えます。近年、若干の揺り戻しもあるように見えますが、総じて、さまざまな課題は個人の内面の問題として現れるようになりました。

 

2.既存の場の機能が弱まっている

日本企業について考えてみると、業績や成果を強く求められる傾向が90年代以降に出てきています。(それ以前は人口増加によって、ある程度自動で業績を上げられていたのですが。)成果主義的な人事制度も少しずつ、このころより広まってきています。また、昨今では働き方改革のもと、生産性をより強く重視するようになりました。

こうした流れには、職場に情緒的な人間関係を期待しない傾向を強めている側面があります。つまり、仕事の範疇から外れるような相談を会社の中でしづらくなっていると見ることができます。更にマクロに見れば、雇用の不安定化や流動化がそれを助長しているかもしれません。

学校においては、ある種、「学校のサービス業化」が起こり、最近特に、教員の負荷増大が問題として取り上げられています。先生に余裕がなくては生徒の悩み相談など受けられようもありません。

また、過去の家族形態を肯定することはしませんが、家族のあり方の変化についても付け加えておきます。核家族化や共働きの一般化は、家族どうしで相談し合う機会を縮小させている可能性もあります。

このように、日常の場において、個人的な相談をする場面やチャンスが少なくなっている可能性があると考えます。

 

3.既存の場の機能に限界がある

家族だからこそ話せないこともあります。仕事のできる上司でも、話を聞くのが上手いとは限りません。学校の先生だって忙しい。そもそも、人間どうしには相性というものがあります。孤立しているわけでなくても、周りの人間関係、コミュニティを見渡したときに、相談できる相手がいないということや、相談してもイマイチ…ということだってあるわけです。既存の場の機能にも限界があるのです。

 

4.理論や技法が確立した

当然ながら、職業として成り立つようなしっかりとしたカウンセリング、コーチングの理論や技法、手法が確立してきたという側面もあります。それと同時に、カウンセリングやコーチングそのものであったり、その良さを認知している人が増えてきたという事実もあります。

もともと、現代的なカウンセリングやコーチングが(アメリカで)確立してきたのは、概ね1950年代以降とされます。

日本の場合、臨床心理士資格が開始されたのが1988年、コーチングに関しては、1990年代後半になってようやくコーチ養成機関が誕生します。ちなみに国際コーチ連盟の形成も1995年です。日本においてコーチングが少しずつ広まっていったのは2000年代からで、一般の人にも認知されるようになってきたのは2010年代以降だと思われます。

 

 

…長々と書きましたが、こうしたさまざまなものが相まって、コーチングやカウンセリングにお金を払う人が増えているのではないかと思っています。そして昨今では、さまざまなカウンセリング、コーチングのサービスを提供する企業が出てきています。このあたりはまた次回以降少しまとめてみようと思います。

 

コーチやカウンセラーが職業として成り立っている背景について、皆さんはどう思いますか?よろしければご意見ください!

 

 

クリエイションコーチン

Creation Coaching

代表・HRコーチ

中村 公省 Kosei NAKAMURA