コーチング×人事の知〜理想的キャリア創造!〜

コーチング×人事の知見でより良いキャリア・社会を創造する!

今の自分の/あの人の役割を考えてみる

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いよいよ日本では緊急事態宣言が発令され、在宅勤務となった人・在宅勤務の割合が増えている人も多いだけでなく、娯楽施設のみならず保育所なども閉鎖となってきています。そんな状況ですので、私含めオンライン会議に突如参加する子どもやペットを制止しながら仕事をこなしている人も多いようです。家族と過ごす時間やインドアの趣味の時間が増えて案外楽しんでいる人もいる一方、仕事が終わらないと焦っている人、逆にどうしても出勤せざるを得ず、会社ないし社会における責任が増していると感じている人もいることと思います。

 

(キャリアの専門家界隈では有名な)アメリカの経営学者・キャリア研究者ドナルド・E・スーパー(1910-1994)によれば、キャリアとは人生のある年齢や場面のさまざまな役割(ライフロール:職業人、学生、家庭人、市民など)の組み合わせと定義されます。そして、その役割の組み合わせ(割合)は人生全般にわたり、さまざまに変化していく/変化させていくものであると言います。この理論を参照するとすれば、現在の状況は、強制的に役割の割合が変化させられている状況であると言えます。単純化した例を挙げると、職業人7割、家庭人・親3割であった人が、保育園であずかってもらえないこととなり、やむを得ず職業人3割、家庭人・親7割になってしまっているような状況です。

参考:「ライフキャリア・レインボー」とは? - 『日本の人事部』

 

個人単位で見れば、自分の役割がどう変化しているのかを客観的に考えてみたり、今後どう変化させると上手くいくのかを考えてみたりすることで、この事態を乗り切るヒントが得られるかもしれません。「今はこういう役割に注力する時期なのだ」と認識することで少なくとも精神的には何とかなる場合があります。

 

一方、集団・社会として見ると、社会全体において各個人の役割が意図せずして変化してしまっていることにより、社会や経済が停滞しているという点が問題なのだと思います。政策で解決するという方法ももちろんありますが、こんな時だからこそ、同僚や地域の人、あるいは友人が、今どういう役割の配分になっていて(なっていそうで)、何で困っているのかを想像してみること、できることがあれば手を差し伸べてみることを考えてみたいですね。スーパー的に言えば市民の役割で地域で助け合うとか、あるいは余暇を楽しむ人としての役割で、自分の趣味を通じて助けるとか、です。(例えば、あそこの店でこんなテイクアウトのメニューをやってるよ!とブログで発信するなど。) 

 

もちろん、これまでだって、自分たちの身近に、介護や育児などで自分の理想とする割合で役割を全うできずに、葛藤を抱えていた人も多くいたことと思います。しかしながら、そうした人の存在やその人が抱える悩みに対して、本当の意味で気づけずに、できるはずの支援ができていなかったこともあるかもしれません。少なからず皆が不自由さや葛藤を感じている今だからこそ、もう少し優しくなれるきっかけが、優しさを発揮する勇気を持つチャンスがそこにあるような気がしています。

 

プロコーチ

中村 公省 Kosei NAKAMURA