副業・兼業の今とこれからの社会
時代の流れか、次第に副業・兼業を解禁する会社が増えてきました。副業・兼業をめぐる動きについて、現状を探るとともに、これからの働き方や社会について考えてみたいと思います。
大企業等の動向
2019年5月20日付の日経新聞によれば、大企業や主要なベンチャー企業では副業・兼業を認める流れが加速しているようです。
働き方改革の一環として、企業が副業を解禁する動きが進んでいる。日本経済新聞社が東証1部上場などの大手企業にアンケートを実施したところ、回答を得た約120社のうち約5割の企業が従業員に副業を認めていることが分かった。
副業解禁、主要企業の5割 社員成長や新事業に期待: 日本経済新聞
これまでの流れをふまえると、基本的には、今後も副業・兼業を認める企業は増加していくものと予想されます。
中小企業の動向
では、中小企業の場合にはどのような状況でしょうか。エン・ジャパンの調査によれば、日経新聞の調査対象となった大企業等に比べると少ないものの、回答企業の25%、約100社が副業・兼業を容認しているようです。
中小企業の「副業・兼業」実態調査中小企業の25%が副業を容認。「社員の収入増」を目的に、容認が多数。―『人事のミカタ』アンケート― | エン・ジャパン(en-japan)
社会課題から考える副業・兼業
ただし、日経新聞の調査では、容認の理由として、人材育成や新事業の開発につなげることを多くの企業が挙げていたのに対し、エン・ジャパンの調査では、社員の収入増を理由としている企業が最も多く、企業規模などによって大きく状況や目的が異なることがわかります。
また、労働者側からは、生活費の補填のために副業を容認することへの批判であったり、労働者の安全の確保に関する問題提起がなされていることも事実です。国家の生産性向上の名のもとに、苦しみを味わう人が増えないよう、政府だけでなく、企業も注意していく必要はありそうです。
政府の副業・兼業を推進する姿勢に反対する声明を出しました | 日本労働弁護団
しかしながら、政府が副業・兼業の拡大を図っている背景には、産業の活性化、国としての生産性向上という理由だけでなく、そもそも人口減少社会において、どう経済と社会をまわしていくのか、という更に大きな課題があるわけです。
そうした社会状況において、いずれにしても、副業・兼業を認め、勧める流れが間違いなく加速しますし、加速せざるを得ないと思います。このような流れの中で、政府や企業はしっかりとセーフティーネットを用意していく必要があります。
個人に必要なこと
一方、個人の側では何が必要となってくるでしょうか。副業開始の起点が、自己実現であっても、生活のためであっても、単なるダブルワークはストレスでしかありません。いかにやりたい仕事をやれるか、仕事に意義を見いだせるか。本業含めて、天職と思える仕事を見つけられるかが大事になってきます。
あわせて、複数の場で働く場合には、より高度な自己管理能力が求められることも間違いないでしょう。
自己実現に向けた計画実行も含むセルフマネジメント。そして、再チャレンジがいつでも可能で安心安全な社会の実現。
私自身、企業人事として後者に貢献しながら、コーチとして個人の夢や天職探し、セルフマネジメントのサポートにも携わっていきたいと考えています。
クリエイションコーチング
Creation Coaching
代表・HRコーチ
中村 公省 Kosei NAKAMURA