なぜコーチやカウンセラーが必要なのか①
なぜコーチやカウンセラーが必要とされるのか。「一度体験してみて!そうすると良さがわかるから!」と声を大にして言いたいところですが、まずは、コーチングやカウンセリングの何が・どこが良いのかという話ではなく、必要とされる社会的背景について考えてみたいと思います。
なお、これはあくまで仮説なので、またいつか時間をとって調べ、検証してみたいと考えています。まずは考察?空想?にお付き合いいただければ幸いです!
これまでカウンセリングやコーチングの機能は誰が担ってきたのか?
フロイトやカール・ロジャーズがカウンセリングの技法や理論を確立するより前から、ティモシー・ガルウェイが「インナーゲーム」を著したりする以前から、人に相談するという行為は日常的に行われている行為だったはずです。(これらの理論家の説明は割愛します。)そして今だって、相談というものは、わざわざ専門家のところに行かずとも、普通に生活の中で行われている行為です。
相談するという行為が行われる場所を具体的に考えてみると、大きく3つのカテゴリーに分けられると思います。
①神秘的関係
宗教や占いの類です。迷ったとき、悩んだとき、目標を達成したいときに、祈祷師や僧侶に相談し、神の言葉をおろしてもらったり、偉大なマスターの教えに基づいたアドバイスをもらったりするわけです。
②情緒的関係
家族や友人などです。悩みを親に相談する、友人に聞いてもらって慰めてもらう、近所の頼れるお兄さんにアドバイスを請う、おばあちゃんの知恵袋に頼るなど、最も日常的に行われている行為です。
③社会的関係
学校における教師と生徒、会社における上司と部下、職人や芸人の師匠と弟子など、ある社会的な仕組みをベースとした関係です。よりティーチングに近いものが行われる場所ですが、悩みなどの相談相手としても活用されることが多い関係です。
なぜコーチやカウンセラーが必要なのか?
こうして並べてみると、相談する場はたくさんありますね。こんなにあるのなら、コーチやカウンセラーという専門家は必要ないようにも思えます。それでも、職業あるいは産業としてコーチングやカウンセリングが成り立っているのにはそれ相応の理由があるわけです。
少し考えてみると、そもそも相談できる相手がいない、適した人がいない、という個人の理由(ニーズ)がまず思い浮かびますが、社会的背景として整理すると、以下のような背景・理由として整理できると考えます。
- 社会の変化により、個人の抱える課題が、(深い)内面的課題へと変化してきたため、専門家が必要になってきた
- 上に挙げたような場の機能が弱まっている
- そもそも既存の場の機能に限界がある
- カウンセリングやコーチングの理論と技法が確立し、職業として自律した
少し長くなりそうなので、それぞれの背景・理由詳細については、また次回書いてみたいと思います!
プロコーチ
中村公省 Kosei Nakamura
クローバーナイト(本の感想)
最近読んだ小説の感想です。
※Amazon 内容紹介より
家族の幸せを守るべく、新米騎士(ナイト)・鶴峯裕が右往左往しながら奮闘中。
ママ友の不倫疑惑、熾烈な保活、過酷なお受験、驚愕のお誕生会、そして――。保育園に通う一男一女を抱える鶴峯家は、子育てにまつわる数々の試練を乗り越えられるのか!? 直木賞作家・辻村深月が贈る、子育て世代への高らかなエール!
父として、夫として主人公鶴峯裕が数々の(本当にちょっとした日常の)事件に立ち向かい、謎を解き、解決していくお話。
小説というより、むしろ何かのテキストに近いという感想です。
感想①リアルでちょっと疲れる?
小説とは非日常を経験し、それを楽しんだり、味わったりするものです。しかし、この作品に関しては作者の課題設定力や取材力、描写力の賜物と思われますが、「あるある」を超え、日常感を感じられました。普段の生活の延長にあるような作品であり、子育て世代にとっては、共感できるというよりむしろ、感情移入するとちょっと疲れるかもしれません。
この意味で、人間関係のケーススタディとしても良い本だと思われ、ぜひ今子育てをしていない人にも読んでもらいたい作品です。
感想②楽しむよりむしろ勉強になる
作者の得意分野はミステリーであることもあり、謎解き要素が楽しい作品です。ちょっとしたお互いの誤解やすれ違いからいくつかの問題や日常の事件が起きていくのですが、主人公鶴峯裕は鋭い観察眼や交渉力で、時に意図せずしてそれらの問題や事件を解決していきます。公認会計士の設定であり地頭も相当なものなのでしょうが、人間を冷静に観察して真相に気づき、時に自らアクションを起こして解決してしまうことに加え、内省力も半端なく、この点はちょっと(良い意味で)異常です(笑)。もしかすると、現代社会に求められるヒーロー像とは彼なのではないでしょうか。
読んだ方いらっしゃればぜひ感想を聞かせてください!
クリエイションコーチング
Creation Coaching
代表・HRコーチ
中村 公省 Kosei NAKAMURA
定量と定性・具体と抽象
言葉というものは時間・時代とともに変化するものなので簡単に「その使い方は不正解!」と言い切れないと思っていますが、ある言葉について、ちょっと使い方や解釈が違うのでは?と思うものがあったので、そのことについて書いてみます。
「定性的」の定義
今回とりあげたいのは、「定性的」という言葉です。ネット検索すると、定性的=抽象的と書いてある文章が散見されるのですが、辞書における言葉の定義としては、以下のとおりです。
定量的 ていりょうてき
1 数量に関するさま。ある物質にその成分がどれだけ含まれるかを表す場合などに用いる。
2 数値・数量で表せるさま。
定性的 ていせいてき
1 性質に関するさま。ある物質にその成分が含まれるかどうかを表す場合などに用いる。
2 数値・数量で表せないさま。
具体的 ぐたいてき
はっきりとした実体を備えているさま。個々の事物に即しているさま。
抽象的 ちゅうしょうてき
1 いくつかの事物に共通なものを抜き出して、それを一般化して考えるさま。
2 頭の中だけで考えていて、具体性に欠けるさま。
対義語になっているのは定量と定性、具体と抽象なので、定性的で具体的な文章も、定性的で抽象的な内容もあるわけです。また、定量的だけどあまり具体的ではない情報もあります。
例えば、
①なんか辛いものが食べたい気分です。
②今私は新宿中村屋のインドカリーが食べたい。
③なんか辛いものを500グラム食べたい。
ちょっと例文に無理があったかもしれませんが(笑)、①は定性的で抽象的、②は定性的で具体的、③は定量的で抽象的な文章です。
ビジネスは数字の世界なので定性情報のみの文章や報告に対してネガティブな場合もありますが、良い情報というものは、適切なバランスで定性情報、定量情報が入っており、かつ必要な範囲で具体化あるいは抽象化しているものだと思います。つまり、使い分けが必要ということです。
特に人材育成の場面では、定量化を意識するだけではうまくいかないこともあります。例えば、結果の数字のみに注目するのではなく、態度やマインドなど、数字で表しにくいものを承認したり、褒めたりすることも大切です。
目標設定や評価でのポイント
以上の内容について、目標設定や評価の場面で考えてみます。
目標設定においては、基本的には具体化すること、定量的に書くことが大事です。
例:
売上を◯%アップさせる
事務ミスを10件以下におさえる
◯月までに◯㎏減量する
しかしながら、具体的な定性情報やイメージも加えるとより良い(実現したくなる、ワクワクする)目標になります。
例:
売上を◯%アップさせてみんな笑顔の忘年会を開催する
事務ミスを10件以下におさえてマネージャーからプロフェッショナルとして認知される
◯月までには◯㎏減量して武田真治のようなボディを手に入れる
なんだか、頑張ってみたくなりませんか?
また、既述のとおり、評価やフィードバックの場面では、定性的側面にも着目するとより有効なことがあります。具体的に、ということも意識するとより効果的になると思います。
「契約を5件とれ、売上に5%貢献したので良かった」
→「メールなどを見るにいつも顧客への丁寧な対応ができている点と、契約を5件とって売上に貢献したという事実が評価できる」
どちらが嬉しいでしょうか?
その他、複数の人を公平に評価しなければならない場合には、評価基準を少し抽象化してみることも有効です。
店内に聞こえるボリュームでお客様に挨拶できているかどうか
→明るく、元気で、爽やかなコミュニケーションができているか
前者の例だと全体的な態度ではなく、声の大きさのみで評価してしまいかねません。
他にもさまざまなポイントがあり、ネット上にもいろいろな記事がありますので、複数調べて比較してみると良いかもしれません。
個人で上手く目標設定できない、部下へのフィードバックが上手くいかない、などのテーマもコーチングでサポート可能ですので、よろしければご相談ください!
クリエイションコーチング
Creation Coaching
代表・HRコーチ
中村 公省 Kosei NAKAMURA